2018年3月24日土曜日

Twitter が採用したHosted Web Apps とは

2018年3月、Twitter社が Win10 IP RS4向けに新しいバージョンのTwitter Appをリリースしました。順次自動更新されているのですが、それが今までのUWP Appではなく、Hosted Web App だったことで少し話題になっています。

最初はRichard Hay さんのTwitterで知りました。その後記事にされています。

Official Twitter App for Windows 10 Finally Updated
https://www.windowsobserver.com/2018/03/23/official-twitter-app-for-windows-10-finally-updated/


どれどれ、とインストールしてアプリのフォルダを見ると…


既定だと、Program Files\WindowsApps 以下にインストールされます。
管理者権限付きのConsoleで探すのが楽です。


おお、まさにHosted Web Apps でした。

Hosted Web Apps って何?


HostされたWebアプリ
https://developer.microsoft.com/ja-jp/windows/bridges/hosted-web-apps

所謂UWP App …C#/VB/JS/C++ で動かすNative App とは根本的に世界が違います。

Hosted Web Appを構成する要素に、いわゆるソースコードとなるものは実はローカルには存在しません。AppxManifest.xml によるアプリの定義があるだけです。

AppxManifest の一部 
全部見たい人はAppをインストールするとアプリのフォルダに入ってます。


ここに書いてある mobile.twitter.com をそのまま表示する 100%Webブラウザの窓、というのが正しいです。Twitter のAppをインストールするとわかりますが、表示されるのは100%、mobile.twitter.com そのままです。これに何かUIをXAMLで追加する、ローカルのコードビハインドで処理をする、等の世界では無いわけです。

「TwitterのHosted Web App」の画面。
mobile.twitter.comそのままです。

なお、ストアに乗せるにはマイクロソフトのテストを通す必要があり、他のUWP Appとまったく同様に掲載されます。特に何か差がつけられるという事はありません。


それって…ただのブックマークでは?


いや、それは明らかに違います。上のAppxManifestで定義したサイト内のHTMLから、ローカルのWinRT APIを直で使うことが可能だからです。

今回のTwitter Appでは、この機能を使ってRTやいいねがされた場合に通知トーストを送信しています。

(Chrome等ブラウザでも許可すれば似たような事出来るじゃん、というのはありますが)

「普通のWeb」ではもちろん、ローカルのAPIを叩くなど絶対許されないのですが、Hosted Web Appでは良いよ!という事になっています。
「普通のWeb」とは異なり、
  • ストアに出す時点で製作者の身元が明らかになっている
  • Microsoft によるコンプライアンス テストが行われる(※1)
  • ユーザーがインストールする時点で同意している
等々…でOK…なのかしら。
ただ、※1には抜け穴があります。後述します。

ソースは全部Webの上


上で説明したように、ローカルにインストールされるのは定義ファイルと、タイルのアイコンに使うビットマップくらいです。他…WebViewで表示されるHTML、その中で使うリソース…画像、CSS、その他色々、そしてJavaScript、全てWeb上のものがそのままロードされ、使われます。 「Hosted Web App」、Webでホストされたアプリという…MS先生にしては珍しく、名が正しく体を表しているネーミングです。 なおキャッシュなどの仕組みは特にないため、ネットから切れていると動きません。こちらについてはProgressive Web Apps のService Worker で使えるようになる…はず。


UWP App に対するアドバンテージ


UWP App の場合、ストアに乗せているアプリを変更する際は、原則、マイクロソフトの人力、人の目によるコンプライアンス チェックが行われます。変更の多少にかかわらずチェックはアプリ全ての部分で行われ、人力の場合2、3日かかります。このタイムラグがUWP App 稼業の大変つらいところです。そしてたまに意味の分からないいちゃもんをつけられたり。消耗すること甚だしいです。

(原則、というのは、場合によっては自動化テストのみ、数十分で通過する場合があるからです。アプリによります。ちなみにF10は毎回100%人力テストです。なんで…)



ですが、Hosted Web Appsの場合、上で説明したようにソースは全てWebであり、MSのストアに載っている訳ではありません。
つまり、アプリの改変がマイクロソフトのチェックを通さずにやりたい放題という事になっています。これは別に開発者が見つけた抜け穴ではなく、MS自身がアドバンテージとしてアピールしています。それでいいの?という気はちょっとしますが…
それと、さすがにあまり無茶するとお取りつぶしなどは当然あると思います。教育アプリがある日突然ふたばのJun君を表示するとかそういう。


Progressive Web Apps とは違うの?


基本的にはネーミングの話かなと思います。Hosted Web Apps の進化系がProgressive Web Apps (以下PWA)と言うのが正しいはずですが、ただ他のメディアの紹介を見ているとTwitterはPWA だ!という所もありました。どちらもそれはそれで正しい気がします。

また、PWA 自体、別にMSの持ち物という訳ではなく…AndroidにはAndroid のPWA があります。おそらく、これに大体そろえる感じで各機能入れるんだろうなと思います。Service Workerが入り、オフラインで使用可能なもっと「ちゃんとした」アプリになる…のだと思います。 ちなみに、WindowsでのPWA の情報自体まだ出きっていないのが実情です。おそらくは2018年5月のBuild 2018 でお披露目・・かな?と思います。今のところは以下、2018年2月のBlogの情報が詳しいです。


Welcoming Progressive Web Apps to Microsoft Edge and Windows 10
https://blogs.windows.com/msedgedev/2018/02/06/welcoming-progressive-web-apps-edge-windows-10/



私はいいと思う




Progressive Web Apps 、前身のHosted Web Appsも含めてなんつうかこう…Windows 開発者の間ではあんまり人気が無い、気がします。理由はなんとなくわかります。ただWeb表示してるだけじゃん?アプリじゃねえじゃん、という。ある程度正しいと思います。

また、Win10 のUWP、Win8.1のStore App でもそうでしたが…ストアを埋め尽くす低品質アプリの代表格が、アプリのメインウィンドウにWebViewを張り付けてWebのコンテンツを表示するだけの「アプリ」でした。こういう嫌な経験も影響しているのだろうと思います。私も何度DLして起動して脱力したことか…あ、WebViewアプリ様だ……


ただ、だがしかし。私はPWA、いいと思っています。
「アプリ」の主戦場がローカルからWebに移行して随分経ちました。個人的にも、GMail、Google Maps, あすけん(カロリーチェックのWebです), Slack, Twitter, OneDrive, Office Web Apps, ふたば, etc, etc... 一日を過ごすPC体験の殆どはWebです。そのうち一部…ふたばはF10を使っていますが、あれもWebのコンテンツを再解釈してXAMLで表示しているアプリであり、本質的にはWebアプリのVariationと思っています。
このようにWeb側の表現力、機能が十分に進化している場合、それをAPIを使って再解釈して「ローカルアプリ」として仕立てるのって…本当に要るのかな?という疑問は常にあるわけです。

もちろん、今回のHosted Web Apps のTwitterを見ればわかるように、今のレベルではローカルアプリと同じとは言いづらいです。ですが、今後のPWA、そしてまた進化していくであろう次のバージョンを考えると…「PWAでいいよね」となるエリアは今後拡大していくんだろうな、と思います。

※追記 2018/04/02 ... 常用に挑戦してみたけど…結構キツいですねこれ。まずリロードのやり方が良く分からないょぅ…通知等他のタブに一旦切り替えて戻るしか無くない? Twitter PWA, 思った以上に将来性の塊(マイルド表現)でした。これRS4向けに本当に一般公開するんだろうか…



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